川越白ゆり幼稚園、リリーには、絵画指導の時間があります。
子どもたちは絵の時間が大好きで、「絵の時間だよ~」と声をかけるとみんな喜んで画用紙に向かいます。
絵の指導には、「酒井式絵画指導法」を取り入れています。
酒井式絵画指導法では、子どもの描く線は「すべてをよし」とすることを基本に、視覚だけに頼らず五感をフルで使って制作します。
今日は、子どもたちの創造性と個性を伸ばす「酒井式絵画指導法」を中心に、幼稚園での絵画への取り組みについてお話していきます。
酒井式絵画指導法は、元小学校教師である酒井臣吾先生によって考案された絵画指導法です。
絵を描くとき「バランスが悪くなっちゃったかな?」「ここはうまくできた!」と、絵の出来ばえについて良い悪いを判断することがありますが、
酒井式では、「すべての線に間違いはない」という考えがベースにあります。
例えば、お顔を描いたとき、口が顔いっぱいに描かれていたら「お口が大きくて幸せそうだね!」「楽しそうに描けているね!」
お耳がピョーンと大きく描かれていたら「お話がよく聞こえそうだね!」と、声かけをします。
「お口の位置はここだよ」「もっとこうしてみて」という指導ではなく、子どもたちのありのままの感性を評価することを大切にしています。
酒井式絵画指導法では、描く対象を手でさわったり、どんな質感かな?と想像しながら描きます。
たとえば、自画像を描く時は、自分の顔に手で触れて、どんな形?どんな感触?と確かめます。
お鼻を触りながら、「鼻の穴って何個あるかな?」
「小鼻は、柔らかいね、プニプニしてるね。」
「鼻の根元は、固いんだね。」
感じたことを言葉にすることで、線のイメージがしやすく、物の質感を書き分けることができるようになります。
動物や花など、写真をつかって、描く対象を観察することもあります。
「ライオンさんには、たてがみがあるね!」
「たてがみってふわふわかな?かたいのかな?」
と、想像力を働かせながら、線を描いていきます。
線を描くときは、カタツムリが這ったあとのような線という意味で、「カタツムリの線」という伝え方をします。
「カタツムリってどんな風に動くかな??」
理解がやさしくなるように、子どもたちの目線に立った言葉を使うことも大切です。
幼稚園では、年間を通して3枚の作品を仕上げます。
子どもたちは、自分の体の大きさほどある画用紙に向かって、丁寧に作品に取り組んでいます。
絵の題材は、絵本のワンシーンや、川越桜まつり、家族写真など様々です。
同じ題材で描いても、仕上がった作品には、子どもたち一人ひとりの個性が光っています。
「すべてをよし」とする酒井先生の指導法をベースに、子どもたちの個性がいっそう輝く指導を目指しています。
子どもたちの作品は、年に一度幼稚園で開催される絵画展でみることができます。
幼稚園の年少さんから学童保育の小学生まで、数千枚の作品がずらりと飾られている様子は、圧巻です。
作品は学年ごとに並んでいるので、年齢ごとの成長過程も感じられます。
絵画展では、酒井先生から直接指導を受けている講師の方をお呼びして、「絵や制作がもっと好きになる講座」を開いており、
見にきた保護者の方も一緒に「酒井式絵画指導法」を体験することができます。
絵画展は、今年も12月に開催します。
本当に幼稚園の子が書いたの!?と思うほどの力作ばかりで、見応えがありますよ!
▼関連ブログ
うみ組(2歳児クラス) 絵画展に出品
あるとき、絵の題材を「カタツムリ」にしたことがありました。
カタツムリやあじさいのお花の写真を見せながら、作品作りをしていったのですが、
そのあと本物のあじさいを見たお友だちが「あじさいのお花って、すっごく大きいんだよ~」と、教えてくれました。
実際のお花の色や、形、大きさをみて、とても感激したようです。
絵を描くことは、創造性、表現力を育むだけではなく、日常のなかに新しい発見や、興味をもたらしてくれます。
子どもたちの興味や、発見を大切に、子どもたちの世界が広がっていくような作品作りをしていきたいと考えています。