子どもの頃の食事体験が、コミュニケーション能力を左右する | 白ゆりベビースクール

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2021.06.14

子どもの頃の食事体験が、コミュニケーション能力を左右する

近年、ニートや引きこもりなどの社会現象が問題になっています。

その背景として、幼児期の親子の関わり方が要因の一つと考えられているそうです。

生活の中で一番自然な形で家族が集まるのは、「食事」の時間ではないでしょうか。

実はこの食事の時間がコミュニケーション能力を形成する上で、キーとなっているという研究結果があります。

今日は、子どものコミュニケーション能力と、食事をする時間の関係性についてお伝えしていきたいと思います。

誰かと一緒に食べることの意義

食べることの意義=必要な栄養をとり、健康な身体を維持していくことが挙げられるかと思います。

これはすべての生き物に共通して言えることですが、人間にとっての食事は、栄養補給以上の意味があります。

食事の時間は、人や社会との関わりを持つ時間であり、マナーやルールを学ぶ機会でもあります。

・自然や食事を作ってくれた人に対する感謝を育むことができる。
・コミュニケーションをとりながら楽しく食べられる。
・一緒に食べることで絆が深まる。
・食事の作法が学べる。
・規則正しい生活リズムが身につく。
・食文化を伝えることができる。

など、だれかと食事を共にすること=共食(きょうしょく)は、思いやりの心や、コミュニケーション能力といった社会性を育みます。

他の生き物とは違い、社会を成して生活する人間にとって、特徴的な側面と言えるでしょう。

しかし近年は、ライフスタイルが多様化し

・孤食(こしょく)=家族がいるにもかかわらず一人で食事をすること
・個食(こしょく)=家族全員がそれぞれ別々のものを食べること
・同席食(どうせきしょく)=一緒の席にいるが、相互に関わりを持たない食事

が、増えているそうです。

子どもの頃の食体験が、コミュニケーション能力を左右する

子どもが一人で食事をすることは、最近では珍しくないようです。

一人でもお腹を満たすことはできますが、相手を思いやる気持ちや社会性のような「人間らしさ」は、一人では育むことができません。

厚生労働省の調べでは、家族で食事をする機会が滅多にない子どもは、家族で食事をする機会がある子供よりも、コミュニケーション能力が低く、誰かに話しかけられた場合に受け答えがうまくできないリスクが70倍あるという結果が出ています。

会話の理解が遅れるリスクが44倍も高いという結果も出ており、子どもの頃の食体験が、コミュニケーション能力に影響を及ぼすことがわかっています。

社会性には、脳内の「PQ(Prefrontal Quotient)」という知性群の発達が大きく関わっています。

PQは、人と人との関わりによって発達するものであり、幼児期を豊かな社会環境の中で育てることが、PQを発達させる上で重要と言われています。

引きこもりやニートは、このPQが十分に発達していないことが要因として挙げられ、「孤食」のような食事の過ごし方の変化もその一因となっているのだそうです。

食事の時間とコミュニケーション能力の関わりを示す興味深い調査があるので、そちらも合わせて紹介したいと思います。

親の食経験や意識の高さは、子どもの社会性に影響を及ぼす

これは、幼稚園に通う年長児を対象に行った調査です。

年長児の保護者と幼稚園の先生には、それぞれの視点で子どもに関するアンケートに回答してもらいます。

保護者には、食事作りに関する意識や自身の食への関心、自身の生活の充足感などの質問をしました。

先生には、子どもたち一人ひとりの日頃の生活の様子、特にコミュニケーションに関する質問に答えてもらいます。

例えば「昼食時は、友達と会話をしながら楽しそうに食べているか」「友達の嫌がることをしたり、言ったりしない」といった内容です。

そして、年長の子どもたちには、「おうちで食べている晩御飯で一番好きなお料理を絵に描いてください」と画用紙を渡して、絵を描いてもらいました。

またその際に、料理の内容や、一緒に食べている人、その時の気持ちなども先生に聞いてもらいました。

それぞれの回答結果を見てみると、ある傾向が確認できました。

保護者の過去の食経験が好ましく、家庭での食事に対する意識が高いほど、子どもとのコミュニケーション頻度が高く、先生の視点から見て、その保護者の子どもは周りとのコミュニケーションが良好であることがわかりました。

また、保護者とのコミュニケーションが少ない子どもほど、食に対する興味が低く、先生の評価も「友達の嫌がることをしがちである」等良い評価ではありませんでした。

子どもたちに描いてもらった絵を見ると、食や、誰かと一緒に過ごすことへの興味がよく現れているように思います。

食事に対する意識が高く子どもとのコミュニケーションがとれている家庭では、テーブルの上にたくさんのおかずが並び、家族で楽しそうに食事をする様子が描かれていました。

対して食事の意識が低く、コミュニケーションが良好とは言えない家庭では、テーブルには食事が並んでおらず、子どもが一人でテーブルに座っている様子が描かれていました。

以上の結果から、食事の経験は、社会性やコミュニケーション能力に影響を与えていることがわかります。

子どもとの食事の時間を大切にすることが、豊かな人間性や社会性を育む

リリーでも、食を通した教育は大切にしています。

「いただきます」「ごちそうさま」の挨拶や、食べ物の大切さ、よく噛んでしっかり食べ物を味わうことなどを、幼児期から学んでほしいからです。

幼児期の食経験は、健康な体を保つだけではなく、心の豊かさも育ててくれます。

子どもたちが心身ともに健やかに育つためにも、誰かと食事をする機会は大切にしていきたいですね。