今回のテーマは、「思いやり」です。
思いやりのある優しい子に育ってほしいと願う親御さんは、多いと思います。
優しさや思いやりは、目には見えない情緒的な心の動きです。
「思いやりを持ちなさい」と言って育つものでもなく、測れるような基準もありませんが、豊かな人間性や人間関係を築くために不可欠な要素と言えるでしょう。
思いやりの心を育てるには、大人はどのように子どもと接していけば良いのでしょうか。
思いやりには、相手を理解する「共感性」や、自分はどんな役回りをすれば良いか考える「役割認知」など、複数の心の動きが含まれています。
ここでは、そのベースとなる「共感性」について取り上げたいと思います。
共感性は、周囲から理解され共感されることによって育まれます。
例えば、子どもが泣いていたとしましょう。泣いているということは、悲しかったり、不快に感じていたり、寂しかったり、何か理由があるはずです。
なぜこの子は泣いているのだろうかと、泣いている子に対し、大人が真摯に向き合い、その原因を取り除いてあげることで、子どもは自分のことを理解され共感された、という経験をします。
その積み重ねが、ゆっくりとですが、共感性を育み、相手の心に寄り添う気持ちも育まれます。
子どもが、泣いている時、笑っている時は、目を合わせて「受け止めているよ」ということを示し、適切な声かけをしてあげましょう。
また、その際の顔の表情も大切で、子どもはとても観察力があり、大人の表情をよく見ていますので、その時の子どものテンションに合わせた対応をしてあげてください。
子どもは、体が自由に動かせるようになると、大人の真似をしたり、自己表現が活発になります。
すると、乳幼児期にできていた「共感し、受け止める」ことに難しさを感じることもあると思います。
幼児のいたずら的行動は成長の証ですが、大人から見ると不都合で面倒に感じてしまうこともありますよね。
子どもに常に理解を示し、共感を示し続けるには、相当の忍耐が求められます。
なので、お父さんお母さんの無理のない範囲で、なるべく子どもに自由を与えて、「共感し、受け止める」を心がけましょう。
障子に穴を開ける、紙からはみ出して絵を描く、ティッシュボックスからティッシュを出して遊ぶなど、修復できるものや危険のないことは、あまり叱らずにいてあげてください。
ある調べでは、心の成長度が高い子どもたちは、幼児期におおらかなルールの中でいたずら的な行動を許してもらっていたという共通点があったそうです。
体に自由な活動が与えられると、心まで自由になります。そうすると、相手の感じていることもわかってくるものです。
時間はかかっても「お母さんが困っているから、やめておこう」と親の気持ちを理解できる心を持てるようになっていきます。
一方で「優しくしてあげなさい」「譲ってあげなさい」など、命令的に言葉だけで思いやりを求めると、一見思いやりのような行動をとることもありますが、それは親に褒められたり、叱られないようにするためであって、本当の意味での思いやりを持てていないことがあります。
成長を焦らず、おおらかに見守ってあげることが、思いやりを育むポイントです。
自律性とは、自分の言葉や行動に対して、自分で反省・批判をしながら、望ましい行動をとることです。
例えば、サッカーがうまくなりたいと思ったら、たくさんの練習が必要です。
うまくできなくも、褒めてもらえなくても、転んで痛い思いをしても、うまくなりたいから練習を続けようと、自分の意思で行動できることが自律性です。
そして自律には、他人への配慮(=思いやり)も伴います。
ボールの片付けやグラウンドの整備を怠ったり、チームワークに反して行動する等、まわりへの気遣いや配慮が欠けていたら、自分本位な行動になってしまいます。
また「ルールだから」「叱られるから」「マナーだから」とか、そのような意識で行動している場合も、自律性があるとは言い難いです。
ルールがなくても、叱ってくれる相手がいなくても、自発的に道具を片付けたり、チームの歩調に合わせながら取り組めるのは、ベースに思いやりの心があるからです。
思いやりの心が育てば、誰かの指示がなくても、自律した行動を取れるようになってくれるものだと思います。
思いやりを育む上で、一つ前提としなければならないことがあります。
それは、自分の気持ちを気兼ねなく伝えられるということです。
このように言うと、思いやりから離れているような印象を持たれるかもしれません。
しかし、自分の気持ちを素直に表現することができて、はじめて他人を受け入れることができるものです。
気持ちを偽って言葉だけで相手に共感しても、心の中にわだかまりが残ってしまい、本当の意味で思いやりを発揮していることにはなりません。
例えば、好きなおもちゃで遊んでいるときに「貸してほしい!」とお友だちに言われたとします。
まだ遊びたい気持ちがあれば、「まだ遊びたいから、一緒に遊ぼうよ!」や「いいよ。でもまたあとで返してね!」と、自分の気持ちも素直に伝えられることが大切です。
一方的に相手を受け入れるのではなく、相手に対して共感的な理解を持って、自分に何ができるのか考えられることが、本当の意味での思いやりです。
子どもの頃に、一方的に受け入れることを良しとしてしまった場合、大人になっても、自分を偽ったコミュニケーションを続けてしまうかもしれません。
もし、子どもが本音を隠していそうだなと感じたら、「本当の気持ちは?」と聞いてあげて、どうすれば良いか一緒に考えましょう。
自分の気持ちに寄りそうことができて、はじめて相手にも寄りそうことができるのです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
最後に記事の内容をまとめます。
思いやりのベースにあるのは、相手への共感的な理解です。
「共感する」を知るには、「共感してもらう」を体験することです。優しさや思いやりのような情緒的な心は、与えられることによって育ちます。
思いやり的な行動を示したとしても、「ルールだから」「叱られるから」という意識が働いている場合は、本当の意味での思いやりがあるとは言えません。
まわりの大人が優しさや思いやりを示して、「自分のことを理解してくれている、共感されている」と感じる体験をさせてあげましょう。
なんでも理解や共感を示すことは、とても根気のいることですが、ある調査によると、危険なこと以外で子どもの自由を尊重してあげると、心の成長度が高い傾向にあることがわかっています。
危険なことは避けるべきですが、手間はかかっても回復できることであれば、あまり叱らずにおおらかに受け止めてあげましょう。
一方的に相手を受け入れることが思いやりではありません。
自分の気持ちに寄りそうことができて、はじめて相手にも寄りそうことができるものです。
特に幼児期は、心も体も急成長する時期なので、お父さんお母さんから思いやりや優しさを与えてあげてくださいね。
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