子どもの脳が活発になる姿勢があることをご存知でしょうか?
普段何気なくやっている方もいるかもしれませんが、子どもをお父さんお母さんの膝の上に座らせている時が、最も子どもの脳が活発に動きます。
これは、お父さんお母さんの体温を深く感じることができ、その安心感から脳が活性するのだそうです。
このようにスキンシップは、親子の信頼関係を作るコミュニケーションでもあり、心や脳の発達にも関わりがあり、子どもの成長において重要な役割を担っていることがわかります。
今日は、親子のスキンシップが子どもの成長にどのように影響があるのかお話していきます。
目次
抱っこ、手を繋ぐ、頭を撫でるなど、親子のふれあいは、心地の良いものですよね。
触れることによって、子どもは愛情を感じたり情緒的な心の成長がありますが、脳にとっても、良い影響があることがわかっています。
皮膚は、露出した脳とも言われおり、直接的に脳に刺激を与えています。
皮膚からの情報は、目、耳、鼻からの情報と比べて、伝達回路が単純な作りをしているので、ストレートに脳に伝わるのだそうです。
また、触れられるという感覚(触覚)は、五感の中で最も脳が広範囲に働きます。
それは、触覚から受け取る情報が、とても複雑なためです。触覚には、五感の中で唯一「主観的な受け取り方」と「客観的な受け取り方」の二つがあります。
どういうことかと言うと、五感からの情報は、そのほとんどが外からやってくる刺激で、視覚、聴覚、味覚、嗅覚は、外部からの刺激(=客観)によって情報を得ています。
触覚の場合は、外からの刺激に加えて、主観的な受け取り方(=自ら感じようとする)ができます。
例えば、足に何かがぶつかったとします。ぶつかったと認識しているのは外からの刺激をキャッチしたからです。
そして、何がぶつかったんだろう、この感触はなんだろう、と自分で感じようとする主観的な動きが、触覚にはあります。
このように触覚からの情報は、とても繊細で複雑な情報であるため、ほかの感覚より脳を活性させるのです。
スキンシップの効果は、脳を活性させるだけではありません。
子どもへのスキンシップの重要性を示す、こんな実験があります。
生まれたばかりのラットの赤ちゃんを観察している時、赤ちゃんを母親から離すと、赤ちゃんの体に大きな変化が起きました。
成長ホルモンや免疫機能など、体を正常に保つための物質が半減する結果となったのです。
母親を赤ちゃんの元に戻すと、体は正常な状態に戻りました。
ラットの親子をよく観察してみると、母親は、赤ちゃんをあちこちに運んだり、舌で体を撫でたり、常に赤ちゃんの体に触れている状態でした。
同じように人間の手でも赤ちゃんを撫でてみたところ、赤ちゃんの体は正常な状態を維持していました。
つまり、触れている相手が何であれ、皮膚からの接触によって、体の機能を正常に働かせていたということがわかります。
そして、この結果は、人間の赤ちゃんにも当てはまります。
赤ちゃんが、お母さんを求めるのは、自分の命を守るためでもあったのですね。
子どもがお父さんお母さんに抱っこをせがむのは、スキンシップが心の安心につながり、自分は受け入れられている、愛されているという実感が湧くからです。
赤ちゃんがぐずっている時、抱っこしたり、背中をトントンすると、泣き止んだり、機嫌がよくなるのは、そういった背景があります。
では、スキンシップが不足した場合、何か影響はあるのでしょうか。
スキンシップが不足していると、脳で感情のコントロールが難しくなることがあるようです。
少年院に送られるような非行少年を対象に調査を行ったところ、幼児期に親からのスキンシップが不足している傾向が見られました。
子どもの頃の皮膚感覚の刺激が不足していると、成長するにつれ、その不足を埋めるために刺激を求めて行動するようになり、結果としてそれが非行・問題行動を起してしまう場合もあるようです。
皮膚からの記憶は大人になっても残り続けるので、その記憶は大切に育みたいですね。
今日は、親子のスキンシップについてのお話でした。お話した内容をまとめると、
皮膚からの情報は、五感の中で最も複雑なので、スキンシップは、脳を広範囲に刺激しています。
ラットを使った実験では、母親から子を離すと、体のあらゆる機能が低下しました。
スキンシップは、赤ちゃんに生命維持に不可欠なものです。
非行少年を対象に行われた調査では、幼児期のスキンシップが不足している傾向がありました。
スキンシップの有無は、子どもの成長に大きな影響を及ぼすことがわかっているので、親子でのコミュニケーションを大切にしてあげましょう。
新型コロナウイルスよって、他人との距離感を取らなければならない世の中です。
先生やお友だちと自由に触れ合うことができない分、子どもがストレスや不安を抱えることもあるかと思います。
ご家庭での関わりで、安心感を与えられるようにしていけると良いですね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。