初めての子育ては「これで合ってる?」の連続ですよね。
褒め方や叱り方など、子どもの接し方について「このやり方でいいのかな」と悩まれる方は多いようです。
特に褒めることについては、親子の信頼関係や子どもの自己肯定感を育む上でとても大切です。
今日は、幼児期の子どもの褒め方についてお伝えしていきたいと思います。
できなかったことができるようになり、子どもの成長を感じた時というのは、親にとって嬉しい瞬間ですよね。
一人でトイレに行けた。靴を履けた。ご飯を残さずに食べることができた。
など、こんな時は一緒に喜んで褒めてあげたいものですが、その際に注意していただきたいことがあります。
それは、結果だけではなく「頑張った過程」や「努力」を認め、褒めてあげることです。
もちろん「できなかったことができる」ということは、素晴らしい成長です。
ただ、「できた」という結果だけに着目してしまうと、「結果がすべて」という極端な思考を持ってしまうかもしれません。
そのような思考を持つと、結果を出せた自分や、できるようになった自分しか認められず、できなかった自分を責めたり、意欲が低下して無気力に陥ってしまう・・・という状況を起こしかねません。
例えば、
「上手にできてすごいね。一生懸命、練習したもんね。」
「うまくできなくても何度もチャレンジしていて、かっこよかったよ。」
このように、努力の過程にも着目して褒めてあげると、その子にとって「努力すること」「頑張ること」自体が楽しいものになります。
また、失敗した時こそ「頑張ってるのちゃんと見てたよ」と努力していることを褒めてあげてください。
大好きなお父さん、お母さんからの言葉は、子どもにとって替えの利かない、大きなパワーになるので、ぜひ頑張りを褒めてあげましょう。
褒め方ひとつで、子どもの性格が変わってしまう・・・ということもあるようです。
褒め方がどのように子どもの性格に影響するのかを示した、おもしろい実験があるのでご紹介します。
ある学校の生徒たちに、難しい試験問題を解いてもらいました。
採点の後、生徒たちを二つのグループに分けて、それぞれのグループに別々のコメントを伝えました。
一つのグループには「良くできたね。頭が良いんだね。」と、能力を評価するコメントを。
もう一つのグループには「良くできたね。頑張ったんだね。」と、努力を評価するコメントをしました。
その後、「次は新しい問題を解きたい?それとも、もう一度同じ問題を解きたい?」と、どちらの問題を解きたいのか、生徒たちに選んでもらいました。
すると、能力を評価した生徒たちのほとんどがもう一度同じ問題を選び、努力を評価した生徒たちのほとんどが、新しい問題を選んだのです。
これは、どういうことでしょうか。
この実験をした心理学者のドゥエック教授によると、頭の良さを褒められた生徒は「前よりも成績が悪かったら、自分の能力を疑われるかもしれない」と失敗を恐れてしまうのに対して、努力を評価された生徒は、難しい問題を、新しい学びのチャンスと捉えている傾向が見られたとのことです。
「頭がいいね」「優秀だね」という言葉をもらった瞬間は嬉しくても、その言葉が子どもにとってプレッシャーとなってしまうようです。
言葉の使い方は、難しいですね・・・。たった一言の違いが、子どもにとって足枷になることもあれば、意欲的な行動や向上心につながることもあるのです。
以上のことからも、褒める時は「結果や能力ではなく、頑張りや努力を褒める」というポイントを、抑えて褒めてあげましょう。
褒める上でもう一つ大切なポイントがあります。それは「具体的に褒める」ことです。
作った料理を「おいしい!」と褒められたら、嬉しいですよね。
「おいしい」の言葉のほかに、「旬のものが食べられて嬉しい」「このソースの味が好み」と、具体的な感想を言われたら、「味わって食べてくれたんだ」「こだわったところをわかってくれて嬉しい」と思われるのではないでしょうか。
ただ「おいしい」と言われるよりも、具体的な言葉を言われたほうが、なんだか信憑性を感じませんか?こだわった点に気づいてもらえたら、手間暇をかけて作った甲斐もあります。
子どもを褒める時も同じで、「頑張ったね!」「すごいね!」の言葉に加えて、どんなところが良かったのか具体的に伝えてあげてください。
実は、この「具体的に伝える」ということが、子どもとの信頼関係を育む上でもポイントとなります。
先ほどの料理の例からもわかるように、具体的な感想を伝えることで、この人はちゃんと自分と向き合ってくれている、少なくとも適当に言っているわけではなさそうだな、という風に感じます。
子どもに対しても、どんなところが良かったのかを、具体的に伝えてあげることで、「この人は、自分のことをちゃんと見てくれていたんだ。」と、信頼してお父さん、お母さんの言葉を聞くことができます。
逆に、何に対して褒めているのか分からない伝え方は、「自分のことを見てくれていない。適当に言っているだけだ。」と見透かされてしまい、不信感を抱かせてしまいます。
例えば、「今日は、偉かったね。」では、どんなところを褒めているのか、分かりにくいですよね。
抽象的な褒め方は、「頑張っても、見てくれない」と思わせてしまい、モチベーションの低下につながってしまいます。
もし、子どもが描いた絵を見せてくれたとしたら「上手に描けてるね!」という言葉にプラスして、「ここの色の使い方がいいね!」「丁寧にはみ出さずに塗れているね」「前よりも上手になっているね」など、どんなところが良いと思ったのか伝えてあげられると良いでしょう。
どんなところを褒めればいいのか分からない時は、子どもに質問を投げてみましょう。
例えば、子どもが描いた絵を持ってきたとします。
「ワンちゃん可愛く描けているね。ワンちゃんが好きなの?」
「ここの線は、何を描いているの?」
「どの部分が、お気に入り?」
など、いろいろな角度から質問してあげてください。
はい・いいえで答えられる質問も良いですが、できれば、自由回答できるような質問を投げてみると、なお良いと思います。
幼児期は、自我が芽生えはじめる時期なので、「見て!聞いて!」と、自己表現や意思表示をしたがります。
質問に答えることで、自分を見てほしいという欲求が満たされるので、子どもは喜んで答えてくれるはずです。
そうすると、子どもが頑張ったところや、こだわったところが見えてくるので、褒め言葉がスムーズに出てくると思います。
子どもの長所は、お父さん、お母さんが一番よく知っていると思います。
「頑張り屋さん」「お友だちに優しくできる」「よく気がつく」「我慢強い」など、子どもの良い所が見えたら褒めてあげましょう。
なので、日頃から子どもの伸ばしてあげたいなと思う所を見つける癖をつけておくと良いと思います。
また、成長するにつれて得意・不得意がはっきりしてくると思いますので、得意なことをもっと好きになれるような声かけをしてあげてください。
「○○ちゃんよりも、上手にできたね」「○○くんよりも、早いね」など、周りとの比較で褒めるのはNGです。
比較して褒めてしまうと、周りと比較したり優劣をつける癖が、子ども自身についてしまいます。
子どもが成長するペースは、十人十色、それぞれの個性が出るものなので、誰かと比べたところで意味がありません。
昔の自分と比べたら成長しているのに、それを認められず、自己肯定感が下がってしまう可能性があります。
誰かと比較するよりも、「以前と比べてどうか」という視点で褒めてあげましょう。そのほうが、ぐっとと子どものやる気がアップします。
今回の記事の内容をまとめると、
●結果だけではなく、努力の過程や頑張りを褒める。
●褒める時は、具体的に!(ふわっと褒めは、子どもの不信につながります)
●どう褒めれば良いか分からない場合は、子どもに質問をなげる
●NGな褒め方は、他人と比較して褒めること
褒め方一つで、子どもの性格にも影響がでることがわかりました。※「褒める時は「頭がいいね」よりも「頑張ったね」」参照ください。
正しく褒めて、子どもとの揺るぎない信頼関係を築いていきましょう。
とはいえ、忙しい時に「ねえねえ、見て〜!」と言われると、対応がおざなりになってしまうこともありますよね。
慌ただしい毎日の中で、お父さん、お母さんの心身の負担になることもあるはずです。
なので、お父さん、お母さんが子どもとしっかり向き合えるタイミングで、実践していただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!