小学校や受験で行われる算数のテストは計算ができるからと言って100点は取れません。
それはなぜかというと、必ずと言っていいほど文章題が出題されるからです。
文章題を解くためには問題文から必要な情報を読み取り、式を立てたうえで問題を解くなくてはいけません。
なんとなく答えを出せただけでは満点はもらえず、式を書かなくては減点対象となる問題がほとんどです。
つまり、算数で100点を取るためには文章を読み取る『言葉の力』が必要不可欠なのです。
では、算数において必要な『言葉の力』とはどのような力なのでしょうか。
では、実際の問題で必要な力を考えてみましょう。
例えば「(220+20)÷2=120」という計算式があります。
この式を使う文章題として、以下の2つの問題のような文章題ができます。
≪問1≫ りんごはみかんより20円高いです。みかんとりんごを1個ずつ買うと220円です。りんごは1個何円でしょうか?
◇考え方◇ みかんとりんごを1個ずつ買うと220円。もしりんご2個を買うと20円高くなるので、りんご2個の値段は220+20=240円。240円を2つに分ければりんご1個分の値段になるので、答えは「(220+20)÷2=120」円となります。
≪問2≫ 花子さんが持っているお金でみかん1個を買うとおつりが50円、みかんではなく、りんご1個を買うとおつりが30円でした。みかんとりんごを1個ずつ買うと220円です。りんごは1個何円でしょうか?
◇考え方◇ 花子さんが何円持っていたかは分かりませんが、みかんを買ったときのおつりとりんごを買ったときのおつりの違いが20円。りんごを買ったときの方が、おつりが少ないことから、りんごがみかんより20円高いことが分かります。そのあとは問1と同じように、もしりんご2個を買うと20円高くなるので、りんご2個の値段は220+20=240円。240円を2つに分ければりんご1個分の値段になるので 答えは「(220+20)÷2=120」円となります。
2つの問題はりんごがみかんより20円高いということを読み取ることができれば、答えを出すために必要な計算式は同じということに気が付きましたか。
算数の文章題は『言い換え』ができるだけで解ける問題がたくさんあります。
例えば引き算の文章題だけでも、「引くと?」「違いは?」「差は?」など計算式は同じでも、
問いかけが全く異なります。つまり、算数の文章題は、問題に書かれている内容を自分が
考えやすい言葉に『言い換え』ができるだけで、解ける問題が増えるということです。
では、言い換えなどを含む『言葉の力』を高めるために、家庭ではどのようなことを心掛ければよいのでしょうか。
「賢くなる算数パズルシリーズ」で有名な宮本哲也氏によると
口数の少ない子どもよりも、普段からよくしゃべる子どものほうが
国語の成績は良い傾向にあるといいます。よくしゃべる子は
家族や友達と会話する時間が長いため、言葉をインプットする機会もアウトプットする機会も多く
言葉への関心(興味)も高くなるそうです。
それに対して口数の少ない子は、他人と積極的にしゃべろうとしないので、多くの言葉を必要とせず
言葉がパッと出てこないことが多く、言葉との付き合い方が下手になってしまうのです。
つまり、日常生活の中で会話を増やすことで『言葉の力』を高めていくことができるということです。
そこで大切になるのは、幼少期から【子どもの話す機会を奪わない】ということです。
無口な子どもは性格ではなく、親に共通点があります。その共通点とは「よく気が回り、子どもが意見を言うべきところを、先回りして言いてしまうこと」です。
親が「〇〇がいいでしょ」「〇〇したいでしょ」「〇〇が好きでしょ」といった言葉を多く使い
先回りして決めつけてしまうことで、子どもは自分の希望を伝えて理由を説明する経験や
失敗したことを相談し解決する経験ができず、言葉の力を高めるチャンスが奪われてしまいます。
自分の意見を言っても聞いてもらえないので、無口でいる方が楽になってしまうというわけです。
もしかすると、算数の文章題を頑張って取り組むよりも、幼少期から日常生活の中で子どもと
楽しく会話をする時間をたくさんとる方が成績アップに繋がるのかもしれませんね。
算数を得意にするには計算力ばかりではなく、『言葉の力』が必要です。
それはどんな力かというと、「自分が理解できる言葉に言い換えることができる力」です。
そんな力を高めるためには、日常生活の会話で様々な言葉を使うことが効果的です。
言葉の力は算数に限らず、全ての教科に良い影響を与えます。
お子様との楽しく会話をする時間をたくさんとりながら、親子で成績アップを目指しましょう!